ホーム>2011年05月14日 日本居住福祉学会全国大会・特別シンポジウムⅠ「韓国の居住福祉政策と居住福祉実践」

2011年05月14日 日本居住福祉学会全国大会・特別シンポジウムⅠ「韓国の居住福祉政策と居住福祉実践」

第11回 日本居住福祉学会全国大会・特別シンポジウムⅠ「韓国の居住福祉政策と居住福祉実践」のご案内

 長引く経済不況の中、家族の崩壊や社会的な結束の瓦解が指摘され、マスコミでは「孤族」など、それらを表現するような流行語が生まれている。90年初めのバブル崩壊以降は、「ホームレス」と言われる、ハードやソフトの「ホーム」から排除され、余儀なく公共の場所を住処としてその日凌ぎの生活を送っている人々が社会の注目を集めていた。その後も安定的な生活や居住の場にアクセスするための社会的な支援は依然として不足したまま、ネットカフェ難民、あるいは生活保護ビジネスと呼ばれる形で様々な住まいの貧困の様態が明らかにされている。
 しかし、このような現象は、日本独特のものではなく、隣国である韓国でも既に経験している。本シンポジウムでは、厳しい経済社会的な状況の下、日韓両国で経験してきた居住貧困の実態とそれに向けた対応について、「居住福祉」という概念をキーワードに、理論と実践の両方に焦点を当て、互いに学びあうことを目的としている。
 2003年、韓国は日本に先駆けて、中央省庁である当時建設交通部(現在は国土海洋部、日本の国土交通省に当たる)の中に「居住福祉課」を設置している。そこではいわゆる居住貧困層のみならず、中堅階層の居住支援までを対象に盛り込んだ幅広い居住支援を居住福祉政策として打ち出している。
 日本では、「居住福祉」という用語は広く浸透してきているものの、政策面では本格的な企画・施行に至っていない。今回のシンポジウムでは、盧武鉉前大統領の秘書官として居住福祉政策を実際に担当し、その後環境省副大臣を務めた後、現在は大学の教員として関連研究に励んでいる研究者、そして居住福祉企画課の官僚、並びに民間団体のスタッフを招き、経験交流と相互研修の場を設けるとともに、今後の安定的な交流のチャネルを設けることにしたい。以上を通じて、両国の関連問題への認識の共有と政策的・実践的な経験の共有、居住福祉をテーマにした相互交流の拡大が期待される。
 「想定外」と言われる大震災を受け、益々居住弱者や、住宅困窮層が増えていくことが予想される中、隣国である韓国では、居住困窮、あるいは居住の貧困という問題に対応し、どのような対応を展開してきたのか、その知恵を拝借できる数少ない機会でもある。


主催:日本居住福祉学会
後援:財団法人日韓文化交流基金・大阪市立大学都市研究プラザ
日時:5月14日(土)/時間:9:30~12:30/場所:大阪市立大学高原記念館学友ホール

<スケジュール>
09:00~09:30 受付
09:30~10:10 韓国の住宅政策と居住福祉政策 金秀顯氏
10:10~10:50 韓国における居住福祉制度の紹介 李浪氏
10:50~11:30 民間支援団体による居住福祉実践報告 南氏
11:30~11:40 休憩
11:40~12:00 質疑応答
12:00~12:30 討論

韓国側招聘者:
金秀顯(キム・スヒョン)、世宗大学校都市不動産大学院副教授(前大統領秘書官(住宅・不動産担当)、前韓国政府環境省副大臣)
李浪(イ・ラン)、大韓民国政府国土海洋省居住福祉企画課居住福祉担当官
南(ナム・チョルグァン)、(株)ナヌムハウジング・社会的企業トゥコビハウジング代表理事

日本側討論者:
早川和男、日本居住福祉学会会長
野口定久、日本居住福祉学会副会長
全泓奎、日本居住福祉学会事務局長